TENANT

ドスタコスポルファボールby.伊佐郷平

2020.06.27

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大学3年の春、パーカッショニストを目指していた僕は、強烈な失恋とバンド解散のダブルパンチによって音楽に向き合えなくなってしまった。
崩れ落ちないように歯を食いしばってなんとか踏ん張っていたが、気がつくと無気力状態になっていた。
だらだらと過ぎていく毎日から脱出するために、僕は親友とある旅の計画を立てる。

 

これは予想外の出来事が次々に起こった、刺激的で痛快な約2ヶ月間の旅の記録。

 

 

ジャックケルアックや沢木耕太郎の小説は、無気力の沼に浸かった重たい体を少し軽くしてくれた。
他にもInto the Wild、The Beach、180°southなどの映画を繰り返し観ては、旅をする自分を想像して気を紛らわしていた。
現実逃避の想像の旅を続けるうちに、実際に異国の地を歩いてみたいという気持ちが膨らんでいく。

 

この頃、”大学一顔が濃い”で有名だったギタリストつかっちゃんと、好きな小説や映画の話で盛り上がった日を境によく遊ぶようになる。
勢いで山に登ったり、できないサーフィンをしに海に行ったり。
波にもまれたあと、陸に上がってもしばらく体が揺れていることがあり、2人でその心地いい揺れを波のグルーヴと名づけ、音楽に取り入れようとしてみたりした。

自然の中で時間を忘れて遊んだ帰りには、必ず旅について語り合った。
彼は1人でインドを旅したこともあって、現地で出会ったインド人の話や、犬に追いかけまわされた話、地獄のような腹痛と戦ったときの話は何度聴いても飽きなかった。

 

旅への憧れは日に日に強くなっていった。

 


 

いつものように2人で語り合っていた少し肌寒い日の夜。
ふとつかっちゃんが、夏休みの2ヶ月をまるまるつかって旅をしないかと言い出した。
僕はその素晴らしい提案にすぐに乗っかり、さっそく2人で計画を立て始める。

 

まずは行き先をどうするか。
国内の島で、自分たちで獲った魚や植物を食べて自然と共存する旅もいい。
タイやインドで現地の生活に寄り添う旅も捨てがたい。

 

いろいろ考えた結果、今思い返すと笑ってしまうようなとんでもない計画が生まれた。

 

まずカリフォルニア州ロサンゼルスに降り立ち、広大なアメリカの地を歩く。
その後、旅の資金を集めるためにラスベガスへ。
そしてサンディエゴまで行き、国境を越えてメインのメキシコに入る。

 

さらにこの旅にはルールがあった。


ガイドブックは一切見ないこと。
細かい計画は立てず流れに身を任せること。
郷に入っては郷に従えの精神でいること。

自分たちの知らない景色や匂い、文化や生活の違いを肌で感じるため、傍観する観光客としてではなく、現地に溶け込む姿勢で旅をする。
というのが重要なポイントだった。

 

果たしてどんな出来事が待ち受けているのか。

 

 

1ヶ月後、出発の日。
45Lの重たいバッグパックを担いで、そわそわしながら空港で親友の到着を待っていた。
しばらくして、険しい顔つきでちっこいバッグを背負ったつかっちゃんが空港に現れた時、味わったことのない不安と興奮でめまいがした。

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隣の畑にすごい発見が落ちてるかも。
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