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月世界宙がえり #16by.イハラカンタロウ

2020.11.01

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2年半ほど飼っていたハムスターが死んだ。大吉という名前の真っ白いジャンガリアンハムスター。

 

2018年、まだ梅雨に入りきらない6月の頭、散歩のついでに近所のペットショップへ寄った。ホームセンターとセットになっている、よくある感じのペットショップ。犬猫に小動物、昆虫爬虫類に熱帯魚と小さな店にしては色んな動物を取り扱っていて、入れ替わりも早く飽きなかった。
今でもたまに行く。

 

「ハムスター小さい頃飼ってたな~」なんて思いながら小動物のコーナーを覗いた。

 

40センチ幅くらいのプラケースに、7、8匹ほどの小さなジャンガリアンハムスターが敷き詰められていて、色取り取りがそれぞれ四隅で丸くなって寝ていた。
そんな中他よりもひと回り小さく真っ白なハムスターが一匹、自分より大きなハムスターに追いかけられ、時々追いつかれ噛まれていて、それが大吉だった。

 

ペットショップをぐるっと一周して帰る前にもう一度覗くと、大吉はまだ追いかけられていた。プラケースの中を二匹のハムスターがぐるぐると走り回っている。
流石にかわいそうで、というかこのままだとこのハム死ぬなと思ったので、店員さんを尋ねた。
小動物のコーナーはもう営業時間終わりなんでと言われ、その日は何とも言えない気持ちで家に帰った。

 

次の日、バイト先だった渋谷から急いで電車に乗り、営業時間ギリギリにお店に着いて1200円のハムスターを買った。
脚や背中は噛まれて怪我をしていて耳も少し裂けていて、何よりガリガリに痩せていた。

 

疑念が芽生えて、ジェルで頭がバッキバキの宮川大輔に似た店員さんに「虐められてたみたいで、ボロボロですね」というと、無表情に「っすねー」と言われた。
辞めちまえクソが!と思った。

 

大吉は2月生まれだった。
4ヶ月間虐められていたのか性格が捻くれてしまっていて、全く触れ合うこともできず、手乗りなんて夢のまた夢だった。餌を粧うスプーンにさえ二足歩行で襲いかかってくる獰猛なハムスター。
そんな大吉と初めてまともに触れ合えたのは、飼い始めてから1年ほど経った頃だった。年老いて丸くなったのか食事中だけ頭なら撫でさせてもらえた。

 

飼い始めて丸2年を過ぎた頃から時々苦しそうに鳴いたり、脚も曲がってきて歩き辛そうにしていた。そして綺麗だった白い毛もだんだん抜けてきてしまい、爪楊枝くらいの太さしかない脚は丸裸になってしまった。
もうダメかなと思ったが、新鮮な野菜をあげたり、なるべくストレスを与えないようにケースの掃除も頻度を減らして、それから4ヶ月も生きた。

 

そして先日、たまたま久しぶりに帰りが遅くなった日、大吉は死んでしまっていた。2年と8ヶ月も生き、ジャンガリアンハムスターにしては大往生だった。

 

まだまだ若い、元気だった頃の大吉。一時期すみっこが好きで四角くなる。臆病なので耳はピンと張っている。

 

 

本当は「死とは…!」みたいなカッコよく決まった文章を書いてみようかと奮闘したのですが、そういうのは人それぞれで説くなんて無謀だし、それこそ死ぬほど寒くなりそうなのでやめました。

 

大吉は毎日一生懸命で、飯を食い糞をして、毛繕いをして必死にまわし車を回し、部屋を走り回って、それだけだったんですが本当に幸せそうでした。特に好物の煮干しを食べてる時の顔が忘れられません。

 

特段ハムスターが好きな訳でもなく、虐められているのを見ていられなくて飼い始めただけでしたが、子どもの頃に飼っていた時とは違った経験と色んな学びがありました。

 

大吉よありがとう。また会おう!

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隣の畑にすごい発見が落ちてるかも。
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