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2018.11.23

【FEATURE 】数珠つなぎインタビュー#6
藤井愛稀(俳優)⇒篠田知典(映画監督)

前回:【FEATURE】数珠つなぎインタビュー#5
モリノタイキ(Transit My Youth)⇒藤井愛稀(俳優)


Interviewer:藤井愛稀(俳優)
Interviewee:篠田知典(映画監督)

Transit My YouthやBalloon at Dawnといった若い世代の才能溢れるミュージックビデオに出演してきた俳優・藤井愛稀が対談相手に選んだのは、同じくミュージックビデオからキャリアを始めた映画監督・篠田知典。対談は二人とも馴染みの深い京都の「出町座」で行われた。新作「下鴨ボーイズドントクライ」が劇場公開され注目の中、京都の街での記憶や憧れから気取らない篠田監督のルーツを紐解いていく。

映画監督・篠田知典の原点

藤井愛稀(以下藤井):
まずは自己紹介からお願いできますか?

篠田知典(以下篠田):
時々映画とかミュージックビデオ作ってます、篠田です。

藤井:
篠田さんのことはMOOSIC LABで作品を見たりして存じ上げていまして。

篠田:
そうですね、直接会ったのは今撮っている「下鴨ボーイズドントクライ」っていう映画にも現場に来て頂いたのがきっかけですよね。ありがとうございました。

藤井:
こちらこそありがとうございます。ミュージックビデオもたくさん手がけていらっしゃって、ベランダのMVもよく見ていたのですが作っていたのが篠田さんって後から知りました。

篠田:
僕もBalloon at DawnとかTransit My YouthのMVを見ていたので存在は存じ上げていました。

藤井:
この企画はミュージシャンの方が今までの記事で繋がってきていて、バトンタッチでどうしようかと思ったときに篠田さんがぴったりなんじゃないかと思って。

篠田:
ありがとうございます。誘っていただいて。

藤井:
ミュージックビデオとか映画を作られているきっかけはなんでだったのでしょうか。

篠田:
正直、聞かれるだろうと思って考えてきましたけどこれと言ってなくて、なんとなくですね。大学では軽音楽部に入っていたのですが先輩のMVを頼まれて撮ったのがきっかけで。

藤井:
自分でも音楽をやっていたんですか?

篠田:
軽音楽部は本当に所属してただけみたいな感じなんですけど。最初は仲間内だけでiPhoneとかで撮ってたけどそこから幅広く色々とお話をいただけるようになって。
映画はやりたいなと思ってたんですけどきっかけがなかったというか、こういうので上映されるよっていうのがないと、なかなか人も集められないし。
実際撮り始めた経緯としては、去年、MOOSIC LABの短編部門の募集があって企画書いて送ったら通って、っていう感じです。

藤井:
映画を観ていてもMVを観ていても、音楽が好きな方なんだろうなという印象だったんですけど。

篠田:
そうですね、先にそっちから入った感じですかね。

藤井:
音楽をやろうと思っていたんですか?

篠田:
大学が映像学部で軽音楽部でどっちもちょっとやってたみたいな感じですかね。

藤井:
映像学部に行かれてたってことは、前々から映画を作りたいという目標があったんですか?

篠田:
なんとなくですね。映像学部入った時は映画もそんなに観たことなかったし、みんなが観るようなものしか観てなかったです。

藤井:
大学に入って映画の見方が変わったりとかありましたか?

篠田:
そうですね。映画詳しい友達とかも多かったし、考えて観るようにはなったかなと思います。
あとは監督の名前から興味を持って観るようになったかもしれないです。

藤井:
ここ、出町座にはよく来られるんですか?

篠田:
そうですね、自分の作品も上映してくれたりもあって、よく来ますね。

京都での生活と現代を描くこと

藤井:
出町柳駅周辺の独特な感じってあるじゃないですか。

篠田:
はいはい、ありますあります。

藤井:
篠田さんは一作目も二作目もこの辺で撮られていますが、こだわりがあるんでしょうか。

篠田:
地元は京都じゃないので、初めは森見登美彦さんとか「鴨川ホルモー」とかの印象が強かったのかなと思うんですけど、なんとなく憧れがあって。
あと大学も京都のまた違うあたりだったし、逆にこの辺で過ごしたかったからこそここで撮ってるのはあるかもしれないですね。
いやでも、よく来てたんですけど。京都メトロもよく来てたし。

藤井:
メトロも近いですよね。
憧れの場所で映画を撮れたって感じなんでしょうか。

篠田:
まあでもこの辺がホームみたいな感じで撮ってますけどね(笑)。

藤井:
MOOSIC LABは音楽映画の祭典ということなんですけど、
元々ミュージックビデオを取られてたってこともあって、初めは音楽が関わる映画を撮りたいっていうのがあったんですか?

篠田:
構想はなんとなくあったんですけど女の子が二人出て来てメトロで撮影して、みたいな、ざっくりした話だけあって。
なんとなく、こういう話かなみたいな。

藤井:
どの映画もそうだと思うんですけど音楽が密にある映画で意識されてることとかってありますか?

篠田:
あるかな、なんですかね。音楽とは関係ないかもしれないけど、現代の人が出てくる映画っていうのは意識するかもしれないです。
そうじゃない映画もいっぱいあるしそういうのも好きなんですけど、自分がやるなら今を生きてる人が出てくるのがいいですね。
iPhone持ってたりとか。

藤井:
現代ですね。

篠田:
その辺にいそうなって感じですかね。

藤井:
そんな気張った感じじゃなくってことですよね。

篠田:
そうですね、難しいですけどね。ラフになりすぎてどうでもいい話になる危険性もあるし。
実際その辺にいそうなやつを描くってのは意識してますね。

ミュージック・ビデオと映画

篠田:
藤井さんも、ミュージックビデオも映画も出るっていうのは珍しいかなっていう印象なんですけど。

藤井:
初めてミュージックビデオに出た時はあんまり詳しく監督から話をされなくて、これをしておいてくれたらいいみたいな。脚本も何にもなくて掴めないなと思っていたんです。
でもTransit My Youthの時は曲の意味を教えてくれたりとか、Balloon at Dawnの時は裏の物語までしっかり設定があったりとか、自分的には映画とあまり変わらない感覚で、やっぱり監督さんによってかなり変わるなって思いました。
篠田さんがミュージックビデオ撮る時ってどんな感じで撮るんですか。

篠田:
だいたいバンドがこういう風にしたいとか言ってくれるので、それに沿うんですけど。あとは自由にやるんで揉めたりとかするんですけどね。

藤井:
揉めるんですか?

篠田:
編集とかでこっちの方がいいと思ってるのにとか、まあ揉めるっていう言い方は適切じゃなかったですけど食い違ったりとかはありますね(笑)。

藤井:
ミュージックビデオも音楽に付随する映像で、MOOSIC LABの映画も音楽と映像が融合してて。その二つで感覚的に違うことってありますか?

篠田:
そうですね、全然違いますけどね。全てが同じじゃないくらいですね。
極論、ミュージックビデオは伝えるよりも映像の気持ちよさ重視かなと思うんですけど、映画はそうじゃないので全然違いますね。
映画は伝わらなかったら全然意味がないし、シーンの意味とかも。

藤井:
そもそも組み立て方から全然違うんですね。

篠田:
「左京区ガールズブラボー」も「下鴨ボーイズドントクライ」も途中にミュージックビデオのシーンが入るんですけど。よっしゃ待ってましたって感じでめちゃめちゃやりやすかったりするんですよね。
できるだけ得意なフィールドに持ち込んでみたいな(笑)。
好きなんですよね。映画で途中で音楽がかかって、みたいなの。
好きな音楽映画とか音楽がかかるシーンとかってあります?

藤井:
映画に対しての音楽がうまいなと思うのは、「百円の恋」を観たときに音楽の使い方がめっちゃうまいなって。映画のために音楽があって音楽のために映画があるなっていう感じでした。

篠田:
そうですね、それは確かにそうかも。

藤井:
でも音楽と映画の関わり合いって色々ありますよね。
普通に好きな映画とか見てても、意識してなくても歌がない音楽が上手く入ってたりとか。
例えばここから戦いが始まりますのシーンがあったとして、映像的にスイッチが入るときにちょうど音楽が入ったりするのもわかりやすく映像を増幅するためにあるし。「百円の恋」みたいに映画のエンディングとして、映画音楽だけどその曲はその曲として使われることもあるし。
まあジャンル分けをわざわざしてなくてもいいかなって思ったりします。
篠田さんの好きな音楽のかかる映画は何ですか?

篠田:
えーと定番ですけどグザヴィエ・ドラン監督とかはいいですよね。「マミー」でかかるOasisとか。
完全に持っていかれるので。

藤井:
確かに、ああいう元々知ってる曲が映画に入ってる相乗効果はすごいですよね。
説明みたいでって音楽を入れたがらなかったりする方もいますけど、でもなんかそういうのじゃないなって思ったりします。
どう思います?

篠田:
どうなんですかね。ポップミュージックがかかるシーンがあるじゃないですか。僕はそれが単純にめちゃめちゃ好きなんで。 
でも使い方は色々あって例えば、音源が画面の中に見えてるパターン。
「魔女の宅急便」のスイッチ押したら空飛んで主題歌流れ出してみたいな、あそことかすごく好きで。
音源が画面の中に入ってる方がなおよしって感じですね。

藤井:
物語の中に入ってるのが好きってことですよね。

篠田:
色々ありますよね、ライブシーンがあったりとかイヤホンで聴いてたりとか。 
そういうの好きです。

藤井:
実際に物語の中で音楽が始まるシーンってことですよね、一作目でもレコード流してそこから始まりましたもんね。

まだ映画的なシーンって撮ってないような気がする

藤井:
これから撮ってみたい映画とかってありますか?

篠田:
そうですね、長編は一回やってみたいかなというのはあるんですけど。
機会があればって感じですかね。

藤井:
長編はどういった感じで。

篠田:
長編はホラーがいいです、友達とかには驚かれるんですけど。
お化けがいっぱい出てきたりグロいとかっていうよりは、「It Follows」のようなちょっと青春要素のあるホラーがいいです。
あとはジャンル映画の方が一定の方が観に来てくれるのかなというのもあります。

藤井:
なるほど。これからホラーだけじゃなくていろんなジャンルのもの撮られると思うんですけど音楽に関係するものは撮りたいですか?

篠田:
わかんないですね、入れるとは思うんだけど。続けるか、次も撮るのかもまだわからないですね。
長編にするならホラー以外だと、バンドのドキュメンタリーはやってみたいと思います。
それは縁とかもあるから全然わからないですけど。
本当は「オーファンズ・ブルース」みたいな本格的なやつをやりたいです。
なかなか自分でやるとそうはならないんだけど。映画の純粋な素晴らしさみたいなのをやりたいとは思います。

藤井:
緻密に組み立てられた映画。

篠田:
なんですかね、映画作ってるんですけど、まだ映画的なシーンって撮ってないような気がするんですよね。
これ本当に感覚的なものでインタビュー入ったら嫌なんですけど(笑)、これが映画っていうシーンはまだ一個も撮れてないような気がするんですよね。

藤井:
それまでミュージックビデオをメインで撮られてたのでその影響もあるんでしょうか。

篠田:
そうですね。作ってた本数は断然多いので、映画的なものが作りたいのにちょっとミュージックビデオに寄りすぎるような悩みはあります。

藤井:
長編も楽しみにしております。これからの野望とかはありますか?

篠田:
下鴨ボーイズドントクライという映画が今東京のK’s CINEMAとUPLINKという映画館で上映されているので沢山の人に観に来て欲しいです。あとはその映画のクラウドファンディングを行なっているので、それで沢山集まったら嬉しいですね(笑)。

■Text: So Ohashi
■Photo: Tsugumi Akimitsu



■篠田知典
▷Information
映画『下鴨ボーイズドントクライ』
MOOSIC LAB2018(http://moosiclab.com/)出品作品
監督:篠田知典
上映日:2018年11月17日(土)~12月14日(金)新宿K’s cinema、UPLINKにて上映
音楽:バレーボウイズ
キャスト:田中怜子、赤染萌、吉田知生、寺内将明、樫尾篤紀、望月陽平
『下鴨ボーイズドントクライ』公式サイト:https://shimogamo-bdc.work
クラウドファンディング・プラットフォーム:https://motion-gallery.net/projects/shimogamoBDC


■藤井愛稀
▷Information
映画『ファミリー☆ウォーズ』
キングレコード主催「第5回 夏のホラー秘宝まつり 2018」出品作品
監督・脚本:阪元裕吾
全国のTSUTAYA・GEOなどレンタルショップにてレンタル中
フジテレビFOD・iTunesにて配信中
http://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKIBF-1600/

映画『血を吸う粘土2』
2017年トロント国際映画祭ミッドナイト・マッドネス部門正式招待作品『血を吸う粘土』続編
監督:梅沢壮一
上映日:2019年公開予定
『血を吸う粘土』:http://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKIXF-559