• HOME >
  • TENANT >
  • 【TENANT 101】#4 心の洗濯機
2017.08.16

【TENANT 101】#4 心の洗濯機

マイ・フジロック・レポート

 

フジロックに行ってきた。

 

TENANT203号室の住人でもある、Allancmoがチケットを余らせていて声をかけてくれて、1日目だけ行ってきた。

 

前日の夜に高円寺に集合した僕たちは、前夜祭がてら「極楽屋」にイン。昼間に、Allancmoに買っておいてと頼んでおいたサングラスを受け取ってかけてみると、ジャン・レノかチプルソみたいなギャングスタ風の出で立ちになった僕は、イースト・コーストの風を感じながらカツ煮を爆食いした。

 

思えば毎年どこのフェスよりも行きたいのがフジロックだったのに、忙しいのを言い訳にして行けずじまいだった。東京に来たこともあって距離も縮まり、やっと行ける機会がやってきた!

 

 

 

 

翌日、苗場のゲートをくぐり、オアシスに降り立った僕らは圧倒的な「フジロック感」に包まれた。なんだろう。「フジロック感」としか形容できない。人と、出店の数と、泥と、自然。あと後ろに横たわるレッド・マーキー。

 

201号室の住人でもあるタツミはじめ、大阪から来た友達とも合流して、着いてからしばらくライブも観ず、マウンテン・チル。

 

ようやく腰を上げライブステージに向かうとき、降り出した雨がバケツをひっくり返したような土砂降りに。

 

ここで思う。レインコート持ってねえ。レインコート持ってこないやつ、果たしてなに考えてんの?って目で見られる。昨日の夜、イースト・コーストの風感じながらカツ煮食ってる場合じゃなかった。ずぶ濡れでもはやプール。もはやプール人間。フジロッカーの中でも100人に1人のレベルでずぶ濡れ。

 

そんな中数曲だけ観れたOGRE YOU ASSHOLEが、凄まじくよかった。

 

高校の頃、「コインランドリー」が入ってるアルバムをひどく気にいってよく聴いていたのを思い出した。OGRE YOU ASSHOLEしか占められない感情の領域。それまで、何年も忘れていて、それはORGE YOU ASSHOLEを聴いた時にしか思い出せないような、感情の領域。甘酸っぱさを絡め取った青春のブルースだった。むしろ濡れていてすがすがしい。CD貸してくれたんだっけな?昔オーガを教えてくれた、一緒にバンドやってた女の子のことを思い出した。

 

あと、移動中に通りがかっただけの加山雄三さんがかっこよかった。80歳だって。赤いモズライト・ギターが、大きな身体とミスマッチに見えて、すごく似合ってた。ベンチャーズみたいなソロを弾き倒してた。すごい。

 

レッド・マーキーの後ろの方に席を取りつつ、GALLANT〜スチャダラパーでビール飲んで気持ちよくなる。

 

 

The xxをグリーン・ステージのPAの横あたりで観た。”Islands”のイントロが始まった時は跳ねた。ファースト・アルバムが僕にとっての音楽をかなり変えたと思う。まさに擦り切れるほどリピートしていた。世界中のファンがそうだと思うけど。The xxの曲は、ワールドワイドなスケールがありながら、個人的な思想世界へと導く魔法のよう。周りの海のような人々はそっとフェードアウトして、ごく親しい人とのほんの小さなあれこれを思い出す。手の届く一番近くから。

 

ロミーとジェイミーの組み合わせが美しい。MCで、”I See You”のYouはあなたのことよ、どんなに多くのファンがいても、私はあなただけを見ている、というような言葉を語るロミーでちょっと泣いた。

 

xxの音楽は、言うまでもなくとても素晴らしく、それはフレーズの影響が、とか、音楽性が、とか、ではなく、ごく当たり前にxxというジャンルの音楽があるような感じで、言葉だけが音に乗って伝わってくる。二曲目で横に目をやるとAllancmoがグシャグシャに泣いてた。それが一番心を動かしたことかもしれない。

 

GORILLAZ待機の人が溢れるなか、グリーン・ステージをあとにし、急いでフィールド・オブ・ヘヴンへ向かった。大本命のRHYEを観るためだ。すでに始まっている。迷い続けるレペゼン樟葉のギャル「さわちゃん」を連れ、夜になって幻想的にライトアップされた山道をひたすら歩いた。RHYEのステージはとにかく圧倒的だった。とにかく、「一体化」の極みみたいなものが目の前にあった。フィールド・オブ・ヘヴンの開けた土地、山の果て、各々の姿勢でステージを望む観衆、暗い闇を突き抜けるライト、ミラーボールのように映し出す特殊照明、周りの声、脚の疲労感、録音より2倍3倍の尺を持ったライブ・アレンジ。ステージ上にはホーン隊を含めた何人ものバンド・メンバー。

 

言葉にしがたいけれど、人生のひとつのセーブ・ポイントのように、僕はあの瞬間あの場所にいる自分を記憶した。ずっと忘れないように。”もっと暗く、もっと暗く”とゼロに近いところまで落とされた照明の、真っ暗闇の真ん中から始まった、”Open”を聴けた時点で、なんだか満たされてしまって、僕たちは背中に遠くなってゆくオーケストラを聴きながら、GOLIRRAZの演奏が始まったころグリーン・ステージへ戻った。”stay open”という言葉は、初めてRHYEに出会った時から、ずっと呪文のように今でも胸の内で響く。

 

GOLIRRAZはヘッド・ライナーだった。これは、とにかくエンターテイメントを観た、ということと、デーモン・アルバーンを観た、という感想に尽きる。曲によって様々なメンバーがボーカルを取り、欧米のロック!という感じだった。かっこよかった。シンプルだけど、それくらい完璧だった。

 

ここで2日目に備える友だちはテントに帰り、1日券しか持っておらずキャンプサイトにも入れない僕らは、とりあえずオアシスで腹を満たして酒を突っ込んだあと、ぼろぼろの脚を引きずり夜の楽園、パレス・オブ・ワンダーへ。小さい規模ながら、”夜を使い果たして”いきたい気持ちが垣間見える人々が、各々楽しんでいる様子の素晴らしい空間だった。

 

ルーキー・ア・ゴーゴーでは、「ヘンショクリュウ」というバンドがまるでD.O.のような口調でMCをしつつ、尖りに尖った音をぶちかましていてとてもかっこよかった。

 

サーカスもやっていた。球状のオブジェの中にバイクに乗ったライダー達が最大で7人同時に、バイクで縦横無尽に走り回るという内容だった。説明しがたいけれど、スタント的なスリルが強く、観衆を沸かせていた。何人だかよくわからないおばちゃんの司会進行により、30分に1度ほどステージが執り行われていて、どんな体力をしているのだろうかと思った。

他にも、人力で回るメリーゴーランドのようなものが設置されており、適当に乗ってみたり降りたりして遊んでいたのだけれど、「さわちゃん」が撮影し、アップした動画とツイートによると、僕はちょうど遊んでいたThe Lemon TwigsのMichaelの隣に座って回っていたらしい。ロックスターが隣にいるに関わらず、カメラに向かってドヤ顔を決める僕の動画はのちに、身内に笑われるネタとなり、ツイート自体はThe Lemon Twigsのファンによって「パレス・オブ・ワンダーにマイケルがいたのか」と拡散され、静かに盛り上がりを見せている。彼らは隣でドヤ顔を決める僕のことを、どんな目で見たのだろう。

 

遊び疲れ、シャトルバス乗り場で寝ていると朝が来て、僕らは東京へと運ばれる。うそのように泥だらけのリュックと靴だけが残り、帰って水洗いしてもなかなか落ちない。まるで苗場での出来事を忘れないために、しがみつく記憶の鍵のように。

 

あれから3週間が経とうとしていて、日々色んなことが起こり、一箇所にとどまらない毎日を送っている。時はスライドしていき、同じような景色も、螺旋階段のように少し見る角度が違っていたりする。

 

音楽やそれにまつわる体験は、感触をともなう。僕らは匂いを嗅ぎ分け、あの日あの場所にたどり着ける。

 

来年も行きたい。