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2018.04.30

【TENANT 106】はじまりはじまり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

語りはじめること。

 

この文章ににじみ出る「僕」は、
風のひと吹きで散ってしまうほどに危うい。

言葉というクッキー型をあつめて25年間、
どれだけ大小さまざまな形を所有していても、
生地の一面をくまなく型抜くことはできない。

あとに残る、ぼろぼろの、穴だらけの生地。

それをこねくり回して、再び伸ばして、
また何とか型抜いてみる。

あるいは型を使わずに、不器用に素手でかたどってみる。

トリミングしてみる。

一歩ひいてみてみる。

回りこんでみてみる。

そうやって、
身体のあちこちつかってやってうごかしてやっているうちに

まるでダンスステップみたいに

のってきて

リズムながれだして

ほころんで

手足うきたち花はひらき

歌う気ままに風ふいて

冷えた地平に日がのぼり

四方そびえる壁くずれ

がれきの影がまぶしくて

朝の呼吸に命覚め

背筋ぴんと晴天までつりあがる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな夢をみた。

気がついたら僕の四肢は
四方を白い壁に支配されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもここからはじまる。

壁にかこまれた風の通らない、
僕の小さくて大きなせかいから。

真理からこぼれおちた誰の瞳もない、
心地よくて危ういせかいから。

視界に映りつづける現実の影は、
観覧席にいる僕まではかからない。

そもそも違う由来のものごとなのだ、
映写される世界と、四角のなかの自我と。

よくわからない言葉たちをかさねて、

世界にむかってかがもうとする、

小さなせかいのふちをめざして、

はてがあるのかもはたしてはてな

言葉遊びで這うように、

深呼吸して狩るように、

刹那せつなのこころみを

ものがたることからはじまる。

はじめくりかえすことからはじまる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はじまりはじまり。