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2019.04.07

【TENANT106】秋田で舞踏する – いちんち#3

こんにちは、いちんちの一太です。
だいぶご無沙汰にしていたようです。年1ペースの投稿。
家賃滞納しまくりです。ご近所さんもびっくりでしょう。

いまさらですが、自分の今の暮らしについて。

僕は今、「羽後町」という秋田県にある田舎町を拠点にして、日本の地域と海外をつなぐお手伝いをさせて頂いています(こういった分野を「インバウンド観光」と呼んだりもします)。

山から見下ろす羽後町。僕の住む地区は、田舎町のさらに山の上

でも自分が今関わっているのは、ただの「地方観光」ではありません。
「舞踏」と呼ばれる、60~70年代に隆盛した前衛的なダンスがあります。今では海外の方が盛んで、”butoh”の名の下で欧米・東南アジア・中南米地域で主にコンテンポラリーダンサーに親しまれているようです。この分野については、日本美学研究所というサイトにとてもわかりやすい解説がありますので、ぜひ一読を。「暗黒舞踏」の呼び名の方が有名かもしれませんが、あまり好まない人もいるので、ここでは「舞踏」で。

白塗り・ふんどし・不気味な動き…そういった要素が舞踏のステレオタイプ

今自分が進めているプロジェクトの一つが、僕の住む「羽後町田代村地区」と海外を、舞踏でつなげること。
舞踏の創始者・土方巽が秋田県出身というご縁で、秋田県内では舞踏に関わるムーブメントがいくつか起こっています。そこに乗っかろうとしている厚かましいヨソ者です。

こんないい感じの茅葺民家がたくさん…もちろん死ぬほど寒い

僕自身、さまざまな縁に導かれてこの田代村と、そして舞踏と出会い、そして死ぬほどハマりはじめています。
3月にはフランスから舞踏ダンサーを招待し、日本の都会と田舎を体験させつつ、一緒に舞踏作品を作り上げて披露するという企画を行いました。今はそこで撮影した内容を、羽後町田代村地区を紹介する冊子と、舞踏についての1本のドキュメンタリー映像として編纂しています。それらを通じて最終的に目指すのは、地域もよそ者もハッピーでいつつ、きちんと地域にお金が入る流れの創造です。

囲炉裏を囲み、鍋をつついてくつろぐ舞踏家のお二人

正直僕にとっては「初」ずくめ(初めての社会人、初めての地域、初めての自主企画、初めての撮影…)。田舎にきてのんびり山菜料理作るつもりだったのに毎日ローソン(家から車で30分)、綺麗なパンツが切れてはや3日目。働き方は漆黒ですが、やってることは死ぬほど面白い。どうすればいいのでしょう。

ぼやきはともかく、「舞踏」という芸術は、知れば知るほど深い。

というわけで、現在編纂中の冊子に掲載予定の序文を 一足先にSALONで公開させて頂こうと思います。

 

 

僕たちの日常にひそむ「舞踏」

 

誰でも、涙が流れないほど悲しい瞬間や、身体が引きちぎれそうな怒りや、どう伝えたらいいのかわからない苦しさといった、つかみどころのない感情に出会ったことがあると思います。時にはうまく言葉にできることもあれば、人によっては歌や絵や踊りで表現することもあると思います。それでも、どう言葉を尽くしても、どれほど綺麗なメロディーや優雅なステップに載せてみても、「自分が感じるのは、これじゃないんだ」という想いが消えない…そんな時みなさんは、そして僕自身は、一体どうするでしょうか?

僕たちが今日聴くロックやラップは昔、「低俗」で「汚い」ものを歌ってるとして、クラシック音楽に慣れていた人々に嫌な顔をされていました。漫画やアニメだって「堕落」として見下されていた時期がありました。そして、舞踏。全身を真っ白く塗り、この世のものでないような表情や、妖怪のような不気味な動きをする。一見、美しくもないですし、動きの意味がわからなくて恐くなります。だけど、「一体どのような感情が、このような動きをさせているのだろう?」そう考えて見始めると、そこには人間の言葉にし尽くせない苦悩や、身体という牢獄に閉じ込められた息苦しさが、まざまざと見えてくる。それは、大好きだった祖父を亡くした悲しみや、誰にも自分を認めてもらえない孤独や、死ぬまで同じ労働をしながら腰だけが曲がってゆく痛みや、そういう誰にでも感じられるものが、実は舞踏の奥底には流れている。

僕が舞踏と出会い、舞踏を通じて地域と世界をつなげるというお仕事にお声掛けいただいてから、まだたった4ヶ月ほど。それでも自分なりに、クラスにやってきた外国人の転校生に声をかけ続けるように、「舞踏とは何か」という壮大なテーマに日常の視線から向き合ってきました。そして舞踏は、食事や睡眠やセックスや音楽や噂話というもののように、生存術の一つだと自分なりの理解を得てきました。あの奇妙な動き、部屋に一人の時にそーっとやってみると、新たな自分を発見したようで案外心地いいものですよ。

 

さて、ただいま絶賛編集中の舞踏ドキュメンタリーですが、予告編が明日公開となっております。

(ただこれを執筆中の今現在会社のMacたちが心中したのか、微塵も動きません。このままだと明日は無理っす)

ドキュメンタリー本編・体験カタログも順次公開となりますので、ぜひ。

【追伸:予告編公開されました!】

 

田代、いいとこ、ぜひ来てね。

いちた