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2017.03.21

【TENANT 203】#1 改札前のカップルは今日も虚ろにハグをする

Allancmo

ズカイのボーカル、マンクモ、Osaka、フィリップマーロウ、テリーレノックス、ホールデンコールフィールド、羊男、先生、寿司、たこ焼き、天ぷら、ソウルミュージック、フランクオーシャン、スピッツ、フレディーマーキュリー、カニエウェスト、Pet Sounds、HANA-BI、グザヴィエドラン、ボブの女、チェックのミニスカートとピンクのワイシャツ

昔の郵便配達人、自分の気持ちなど人に教えるものではない、boys don’t cry、理想郷は憧れよりも輝きよりもずっと遠い、愛は大きさではなく形、優しさは物差し、心の醤油を飲むように

 

わたしとオーガナイザー についての手記
わたしが彼と会ったのはわたしがまだ高校生の時の話である。オーガナイザー ソウオオハシとは高校の軽音楽部の先輩後輩という関係ではあるが、直接の関わりはないというようなどっちつかず関係でもあった。オーガナイザーにここまで ーこのsalonに参加させてもらえたこと、つぐみさんや谷口さんや春信さんとも知り合うことになれたことまでー してもらえるくらいに仲良くなったのには、やはり音楽のことで話が盛り上がったことが不可欠になるだろう。
その頃のわたしは海の向こうの音楽のことをたくさん知っている友だちから、アークティックモンキーズから、ディアハンター、アリエルピンクまであらゆるジャンルのロックミュージックを教えてもらい、それらを聴くことが生活の一部となっていた。オーガナイザーと仲良くなるのにも、この話で盛り上がることができ、ーその頃は確かマンドゥディアオの話で盛り上がっていたー 何かの拍子にご飯に行き、話をしようということになった。今になって、なぜわざわざ男2人がご飯に行くまでのことをしなければいけなかったのかなど、わからないことが多いが、きっとあの時オーガナイザーにわたしが音楽を生業として生きていきたいという告白をしていたことが一番有力な理由だとはこの記事を書いていて思い出すくらいだった。後はこの文体を見てわかる通り、村上春樹の話が2人の間で盛り上がったのも一つだろう。私たち2人はわたしの地元の近くのサイゼリアでご飯をすることになり、2人で店に入ったのであった。
そこはいつも僕が使っていたサイゼリアとは違った面を見せた。まずそこは禁煙席ではなく、喫煙席であったし、わたしよりも何かしら多くの時間を過ごしてきた人間が目の前に座っているのだから、この店の異なる顔が僕の前に現れたと言っても別に誇張はしていないのだった。オーガナイザーはその日、自分自身のことについての多くのことをわたしに語ってくれた ー多数の人に知られることではないので話は割愛するがー。彼はそのことについて話すたびみるみる疲弊しているように見えた。カタツムリが自分の大部分を占める殻をなくし、途方もなく道を歩いていくように。彼には行き場がなかった。唯一、彼に行き場があるとしたらそれは小さな細長い葉の詰合せのみであった。彼はそれを数回に分けて吸っては短くしていき、それを耐熱皿に押し込み、また新しいものを取り出してはライターで火をつけて短くしていった。よく覚えている。彼がこの話をするとタバコがよく進むと。その時が来るまでわたしにとってタバコは単なる体に鞭を打ちながらも、一時的な快楽に逃げる、もはやそれは食欲とは違った欲望を満たすだけのものだと思っていた。彼の中でのタバコの存在はそれだけが彼の生き甲斐であり、象徴そのものだとわたしは思った。わたしの中でのタバコへの価値観が変わった瞬間であった。
オーガナイザーはその頃からブログで何気なく書いていたつたない文章を肯定してくれた。わたしにとって詞がうまく書けるか書けないかは音楽を生業とする上で重要なことであったのに、イマイチ詞についての自信があまり無かったからであった。
オーガナイザーとの出会いは、わたしの中の、喉に詰まった魚の骨のようなものを全て胃に流し、消化をさせてくれたのだった。それは誰もができる技ではなく、特定の人を肯定してくれる優しい言葉たちの形だった。長い人生の中で、粗悪に扱われることの多かったーむしろ今でもそういうことは多いけれどーわたしという個体そのものを片手で持ち上げ、ゴミ箱に投げ込まずに大事に取っておいてくれていたのだった。
このご恩は一生では返せることは到底なく、しかもそれにもかかわらず今だにたくさんの仲間をわたしに紹介してくれたり、このような表現の場を提供させてもらったり、ご恩は募るばかりで、一体オーガナイザーはわたしという前世にどれだけのことしてもらっていたのかと考えたり、またどれだけわたしの後世にこの恩を返させようと考えているのかとさえ思うのであった。
オーガナイザーがわたしの一生を見届けてくれるのと同じようにわたしなりにもオーガナイザーがこれからどこへ進むのだろうか。今日は短い。なら明日やるか。いや、来年再来年はもっと短い。

 

 

 

 

 

追記
Allancmoとしての音源を作りました。初めてのことばかりだったので常に己との戦いでした、まあ今に始まったことではないのだけれども。そしてこれから始まったばかりだということも。私の目には とても多くのことが映ります。それは悲しくも良いことばかりではありません。まあ、聴けばわかりますから。