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2017.06.06

【TENANT 203】#3 改札前のカップルは今日も虚ろにハグをする

知的障害の子どもを連れたお母さんが、少し上品そうで小綺麗な感じだとやはり僕はフォレストガンプを育てたあの母を思い出す。
僕ならば、神様は人間を平等に作られたんだから頑張れみたいなこと言われたら、いつか自分が劣っていることに悲しさが生まれたりして、母の言葉が嘘に聞こえたりしちゃいそうだなと思ったりする。彼の人生は僕にとって理想像であり、また絶望像にも見える感じ。人生ってあっちゅう間て感じするけどそうでもないとかナントカカントカ。
とりあえずああいうお母さんを見るたびに僕は自分の息子をどれくらい主観で愛すことが出来て、どれくらい客観でみじめだとかなんとか思うのだろうかと考える。僕ならば客観でたくさんのことを見てしまう。この世は病気名づけられたら、人間は可哀想だとか、不平等だとかなんとか考えるからだ。僕の思考基準なんてそこらへんの一般人と同じ。何の変わりもない。それでも僕の弟のことを考えれば親がどんな思いをしたのだろうとは何度も思う。僕は物心ついた頃から僕の弟はただ1人であるし、取って代わることもできないものだからである。しかし物心ついた頃からゲームは割と出来るが弱いし、サッカーはもちろんできないし、ちゃんとした弟がいたならあんなことも出来たのにと考えていた思考のアザがたまに思い出されたりする。彼もフォレストと同じ、真っ直ぐなやつだ。パソコンを隠して中川翔子のユーチューブだのを見るわけだからな。全く純粋なやつだよ。

そんなこともあり、僕にはフォレストガンプが脳裏にこびり付くものとして脳に記憶されたわけだ。最近は4時になると夜が明けてくる。ゾンビは沈み、人間が活動するという時に僕の眠気もやってくる。それがあまり良いとも思わない。朝の素晴らしさを知っているからなお。

朝の素晴らしさを知るために今日は寝ずに起きた。昼夜が入れ替わっている自己を無理やり直すやり方である。いやでも今日は働くので起きなければいけない。それは春が過ぎようとして夏の匂いがほのかにする5月の今。女子は明るい服を着、それはこれからやってくる夏の足踏みのようにも感じる。僕はやはりパーカーを出さずにはいられない。パーカーは素晴らしい。まずフードが最高だ。雨が降れば被る、降らないなら、風にそよがせればよいのだ。灰色がいい。灰色のパーカーにお気に入りのTシャツを着て、アディダスのガッツレーを履けばその日すべてうまくいく。そう信じられる。信じられる幸せがある。煙も雲も、色んなものが爽やかな青色にどんどん消えていく。天国のような正義も悪も無い真っさらな空に消えていく。そう思えるだけで幸せを感じる。素晴らしい色だ、川がそれを反映している。そう思えるのはどれくらいの人間なのだろうか。もしかしたら、御堂筋線に僕だけなのか?だとしたら、それはとてもラッキーなことだな。

しかし、この電車に乗ってるそのものは憂鬱のそのものの物体のようなもので、その光景はただ僕を現実から切り離してくれるビーチのようなものだ。でもたとえ僕自身がビーチに連れ出してくれたとしてもきっと僕はたくさんのことを思い出すだろう。思い出して頭の中が苛まれ、自分の置かれてる状況に気付くだろう。こんな生き方を20も過ぎ、周りが就職した今でもしてると改めて考えたら、身の毛もよだつだろう。僕は父も堅く、それなりにフランクな人間に育てられた。父にもやめ時は自分ですぐわかっているだろう、なんて言われるのだから余計に背筋をピンとせざるをえない。今の俺はいつだって、崖っ淵だ。後ろに1センチでも下がればゲームーオーバー。ライフもくそもねぇ。