• HOME >
  • TENANT >
  • 【TENANT 203】改札前のカップルは今日も虚ろにハグをする #6
2018.01.12

【TENANT 203】改札前のカップルは今日も虚ろにハグをする #6

クルクルと頭を回るのは、たくさんの色んなこと。あの曲をどうするのだとか、あれをどう作るべきかとか、服をどうすべきだとか。あの子はどうなのか、またあの子はどうしているのか。

きっと僕が満足いく世界を作れたとしたら、誰にも満足はできない。僕がアタックしていたあの子が仲良く彼氏ができて生きているし、前に付き合ってた人たちだって、僕との記憶は脳みその奥の方にある木箱の中に入っているのだろう。それもわかる。たくさんの画やたくさんの匂い、たくさんの言葉が頭の中を蘇る時がある。しかし、それは蘇るだけで、実際に過去を再現することなんてできない。今の技術じゃ、僕らは過去に帰ってみることもできない。どうしてだろう。たまに昔の友だちと会う。昔のように笑い合ったり、いくつかのことはする。恋人は違う。恋人はその時に1人しかパートナーを作れず、パートナーの交換をしたとしてもほぼ同じように元の関係に戻ることも難しい。いつか戻れたらなぁなんて頭の中で反射的に思ったり、その人影の中にポツンと立っているかのようにも見える。どうしたことだろう。何を僕はいきなり考えているのだろう。バカバカしい。女々しいとはなんとバカバカしいんだろう。
あの頃の感覚が込み上げてくると、余計にそこから逃げようとも考える。あの頃のように純粋にはなれない。あなたが手をグッと引っ張ってきたら、オレはもうダメなのかもしれない。そんなこと思ってたら、日は過ぎる。気づけば歳をとる。開発された街はどんどん豊かになっていき、過去の思い出はショベルカーで一捻り。そうして皆が大人になっていった。いずれは大学で出会った人と結婚するやつもいれば職場にいるかもしれないし、曲がり角でぶつかって恋に落ちるかもしれない。そうしてなんとなく結婚していずれ老いて死ぬのだから、恋愛なんて遊びにしか過ぎないのかもしれない。彼らはどうだとしても、僕は傷つけ、傷付けられ、精神が減ってと、遊びを止めることは絶対にしないだろう。

ハッピーニューイヤーなのか。否か。