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2017.05.04

【TENANT 206】#2 ひとりカラオケボックス 

#2 うすあかり眩む

 

陽だまりをずっと見ていると、その照り返しで目がやられてしまうことに気付いた。
陽だまりなのに。

かつて陽だまりのようになりたいとよく願っていたことを時々思い出す。
他のだれが否定しようと、この人のところに行けば自分は肯定されると思って貰えるような、サンクチュアリ、避難所のような、ここだけは暖かい、みたいな、そういう陽だまり。
だがこれは実際のところ、自分自身の強欲から来ているもので、陽だまりなんかじゃないと気付いたのは、最近のように思う。

逃げ場のない人が、逃げ場のない状態でやってきてほしい。
そして自分だけを拠りどころにしてほしい。
あるいは、そういう全肯定の避難所を私こそが求めているのだろうとも思う。

実際の陽だまりは、変化に富んで、媚びへつらわないものだ。
砂漠で見つけるひとしずくではなく、木漏れ日のように、あちらにもこちらにも落ちていて、曇り空によって薄くなり、雨が降れば消え失せて、たとえ晴れた日に気持ちよく昼寝をしていても、時間と共に場所は変わり、私を冷えた地面に置いてけぼりにするようなものだ。

テレビに爆発するテロップに、じゃりじゃりした人の噂話に、不用意に撮られ続けるカメラのフラッシュに、いとも簡単に掻き消されてしまうような微細な光。
わたしもあなたも、そういう微細な光でもある。
しかし見つめていれば視界を焼いてしまいすらするその鋭さ。
したたかさ。驚き、素っ頓狂、無垢、予想外…。

陽だまりに。惹かれたっていう点は、わるくなかったとおもうよ。

陽だまりすら視界を焼いて君だった影の尊くあかいごうごう