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2019.06.05

【TENANT 405】泳ぎを覚えたのは #3

Burnt fish

誘われて唐突にBBQへ行った。絵に描いたような晴れだった。田舎の特権で1時間と車を走らせずとも大きな川の岸に着き、既に大きなテントとご馳走が私たちを待っていた。

犬が忙しく走っている。野良猫がおこぼれを狙っている。私たちは出てくる料理(どれも信じられないほど美味しい、米すら美味しい)に舌鼓を打つ。話に花が咲いて、スケボーなんか乗らせてもらったりして。

前日に大雨が降ったせいで水の流れは速い。濁った川はたまに大木を流してくる。

コンクリートで塗装されているため川の淵にまで行くことができ、私は手を入れてみた。思っていたより冷たい。

するとすぐ近くをメダカの群れが泳いでいた。どうやら流れの緩やかで浅い淵の方に避難しているらしい。
メダカはこちらにはやってこない。一定の距離を保ち続け、触れることは出来ない。

小学生の頃、生き物係だった私に先生が「魚はヒトの体温でやけどをするから網ですくってあげてください」と最初に言ってきたことを思い出した。冷たい世界で生きる魚たちにとって36度は大やけどになる。

ふと、ドクターフィッシュのことを考えた。ドクターフィッシュとはヒトの角質を餌にするために吸い付いてくる習性がある。昔流行った魚。
あいつらはダチョウ倶楽部のごとく、食べ物でやけどをしながら、でも美味しくて食べちゃうのかなと思った。ドクターフィッシュに聞かないとどうも分からないけれど。

川から戻ると塊肉が焼きあがっていた。それを口に入れた瞬間、魚の心配なんかより目の前の肉の温度を気にするべきだったなと反省した。